競技かるたの観戦マナー
マナー違反はお子さんの勝敗に影響
正直、競技かるたの試合を生で観戦して楽しむのは難しいのではなかと思います。観客席から選手までの距離が遠く、場にどんな札があるか見えませんし、百人一首を覚えていないと試合の展開もわかりにくいです。なので、親御さんや同じかるた会・かるた部の仲間であっても、観戦せずに控室で待っている場合もあります。マナー違反をするよりは、控室で待っているというのも一つの選択肢です。
しかしそれでも、そこはわが子の大事な試合、直接、見守りたいという思いがあると思います。
競技フィールドに入らない、相手をやじらないなどは、どのスポーツにも共通した観戦マナーだと思います。しかし、競技かるたには他のスポーツとは異なる独特の観戦マナーがあります。ちょっとゴルフの大会に似ています。
そこでここでは、競技かるたの大会ならではのマナーを紹介します。
マナー違反は、単に他の選手の迷惑になるばかりでなく、選手であるお子さんの勝敗に影響します。しっかり、マナーを頭に入れて守りましょう。
なお、競技かるたがどんなものかを知るためだけに、知人が出場していない大会を見学することは、マナーの難しさや会場の広さの関係でお勧めしません。そういった場合はかるた会を見学させてもらいましょう。
1.試合中に選手に声をかけたり、アドバイスをしたりしない
サッカーや野球などの試合では、選手に対して、どこへ走ってらよいか、どう動いたら良いか、試合中に声をかけたりすることがあると思います。競技かるたの大会でも同じように、わが子に声をかけたくなる時があるでしょう。
しかし、競技かるたの大会で、どこに札があるのか、既に読まれた札は何かを他人が教えることは、マナー違反どころかルール違反になります。どこに札があるか、読まれた札は何かを記憶すること自体が、勝負の内容となっているからです。将棋の対戦でどこに打ったら良いか、外野がアドバイスするようなものです。
違反すると、最悪、選手であるお子さんが退場、不戦敗となります。
また、試合中に励ましの声をかけることもあまり推奨されません。札が読まれていない時でも、選手は絶えず札の位置の暗記を継続しており、暗記の妨げとなるからです。
ここはグッと我慢して、静かに見守りましょう。
2.静かにしなくてはいけない時は、音を立てない、動かない
競技かるたにおいては音というものが大変重要な要素となってきます。上の句の最初の言葉をいち早く聞き分け、札を取るからです。強い選手になると子音単位で聞き分けます。よって雑音は大敵です。
おしゃべりや携帯・スマホの呼び出し音はもちろんですが、意外に試合の妨げになる音は下記のようなものです。
- 足音
- 鼻をすする音
- ドアの開閉音
- 携帯・スマホのバイブ音
- 携帯やパソコンのキーを打つ音
- 紙をめくる音
- ビニール袋がこすれる音
- カメラのシャッター音やピントがあった時に鳴る電子音
基本、静かにする=動いてはいけないと思ってください。スマホは電源をオフにするか、バイブもオフにしたサイレントモードにして下さい。
かるた会や試合へ行くと最初に「歌が読まれている間は静かにして下さい」と言われると思います。 しかし、単に「歌が読まれている間は静かにする」と思っているだけでは不十分です。静かにしなくてはいけないタイミングを正確に見極めることは、ある程度、競技かるたを知っていないとできません。
ここでは、簡単に以下の3つだけ覚えておいて下さい。
- 審判や選手が手を上げている時は音をたてても良い。
- 心の中で3つ数えて、読手(どくしゅ)が歌を読み始めなければば、音をたてても良い。
- 上記の以外は静かにする、動かない。
静かにしなくてはいけない場面で雑音が出ると、音に敏感になっている選手、審判、読手には、雑音の発生源が簡単に分かってしまいます。雑音を発生させた人は睨まれ、注意されます。雑音にイラッと来たところに、注意された人が自分の親がだったりしたら、選手である子供は動揺して試合に集中できなくなってしまうでしょう。
詳細を知りたい方は下記の記事をお読みください。
3.試合中の写真撮影は控える
まず、試合中の写真撮影が全面的に禁止されている大会もあるので、写真撮影が禁止されていないかどうか、大会のパンフレットや開会式での注意事項のアナウンスを確認しましょう。
写真撮影が可能でも、前述の音の問題から、マナー違反にならないタイミングを見計らって撮影するのは難しいです。そもそも、「素早い動きをする選手を、撮影アングルが限られ、室内蛍光灯下で、サイレントモードで撮る」というのは難易度の高い撮影で、なかなか良い写真は撮れません。
クイーン戦の試合中の写真が報道で出ているのを見たことがあると思いますが、あの写真は報道向けのデモンストレーション時の写真です。試合中は、動画しか許されていないと思います。
よって試合中の写真撮影は控え、開会式、閉会式に写真を撮ることをお勧めします。
どうしても札を取っている場面の写真を撮りたい方は、まず、以下のことを厳守して下さい。
- シャッター音や電子音がでないサイレントモードに設定する
- フラッシュをオフにする
上記が正しく設定されているかどうか、試合前に試し撮りして確認してください。また、ピント合わせのモータの音も聞こえないことも確認してください。
その上で、試合冒頭の暗記時間中の素振りの時間に撮影することをお勧めします。
競技かるたの1試合は以下の構成になっています。
- 札を並べる
- 暗記時間-素振り禁止(13分)
- 暗記時間-素振り可能(2分)
- 試合(取り)の開始
- 読み、取り、札整理の繰り返し(100首分、時間は30分~75分)
- 試合終了、次の試合へ
「3.暗記時間-素振り可能」では、選手が素振りをするため、札を取っているような絵が撮れます。また、この時間は札を取る時間ではないので、多少音を出しても気になりません。「開始2分前です」とアナウンスされ、選手が素振りを始めるので、素振りの時間かどうかはすぐに分かります。
ただし、2分が経過し、「試合を開始します」とアナウンスがされ、選手が一斉に「よろしくお願いいたします」と言ったら、選手が素振りしていても、直ちに撮影を止めて下さい。
また、動画を「3.暗記時間-素振り可能」から回しはじめ、試合が終わるまで操作しないというのも手です。バッテリー切れの警告音などが途中で出ないよう、サイレントモードなどに設定しておいてください。
繰り返しになりますが、試合の邪魔にならない撮影をする自信がなければ、撮影はしないで下さい。静かにしなくてはいけないタイミングで、シャッター音やピントが合った時の電子音などを鳴らすことは、試合の妨害になると言っても過言ではありません。野球の試合に例えると、投手が振りかぶったところで、バッターに向かって観客席からボールを投げ込むようなものです。
わが子に教えてもらいましょう
できれば本番の大会の前に、かるた会の練習を見学して観戦マナーを身につけましょう。時間がなく練習が見学できない場合は、自宅でお子さんに模擬的な試合をしてもらい、観戦マナーを教えてもらいましょう。
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